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経営

借りる基幹SaaSは「人数×年数」で効く固定費──公開価格で測れる重さを問い直す

泉水亮介

掴み

ソフトを「借りる」とき、僕らは月額の数字だけを見がちだ。だが借りるソフトの本当の重さは、単価ではなく構造にある。使う人数ぶん、毎年、止めるまでかかり続ける固定費だということ。そしてその規模は、誰でも公開価格で試算できる。

今日の主張はこの一点だ──基幹SaaSのライセンス費は人数と年数に比例して積み上がる固定費であり、その桁は公開リスト価格で計算できる。作るコストが下がった今、その固定費の一部は「借りる」から「作る」へ問い直す価値が出てきた。

公開価格で測る──100人で年3千万円のオーダー

具体例で測ってみる。営業支援SaaSの代表格、Salesforce の Sales Cloud。公式の価格ページによれば、Enterprise エディションは1ユーザーあたり月175ドル、最上位の Unlimited は月350ドル(いずれも年契約のリスト価格、2025年8月の値上げ後の水準)。

100人で Enterprise を使うと、175ドル × 100人 × 12か月 = 年約21万ドル。1ドル150円換算で年約3,150万円になる。

ここで断っておくと、これはリスト価格=交渉前の額面だ。一定規模以上になると値引き交渉が通例で、額面どおり払う企業はそう多くない。それでも桁は動かない。ひと領域のSaaSを100人で借りるだけで、年に数千万円のオーダーが固定費として乗る。 ここに別領域(マーケ、サポート、人事)のSaaSが積み重なれば、全社のライセンス費が軽く年数千万円に届くことは、この公開価格から無理なく導ける。

肝心なのは金額そのものより構造だ。借りるかぎり、この費用は来年も再来年も毎年かかる。使い続ける限り止まらない。これは値引き交渉では消えない、契約の形そのものが持つ重さだ。

「固定費」と「一度作る」の非対称

借りる固定費の対極にあるのが、一度作って持つコストだ。作る側にも保守の手間や作り直しのリスクはある。そこは正直に置いておく。

ただ、構造は明確に違う。借りる費用は人数×年数で線形に積み上がる。作る費用は、立ち上げに重みが寄り、その後は維持に逓減していく形になりやすい。100人が10年使えば、借りるほうは単価×100×10がまるごと効く。この非対称が、規模と年数が伸びるほど「作る」を検討に値させる。

僕の見立てを正直に言えば、ここ数年で変わったのは「作る」側の初期コストだ。設計やコードの試作にかかる時間が下がり、動くものを早く机に乗せられるようになった。これは僕の観察であって、万人にとって作るほうが安いと言い切るつもりはない。領域・規模・社内の体制で答えは変わる。ただ、かつては問うまでもなく「借りる」一択だった領域に、「測ってから決める」余地が生まれたのは確かだと思う。

結論

基幹SaaSのライセンス費は使う人数と年数に比例して積み上がる固定費であり、その桁はSalesforce Sales Cloud の公開リスト価格(Enterprise 1ユーザー月175ドル=100人なら年約3,150万円)という検証可能な数値で誰でも試算できる──だからこそ、固定費を当然とせず「借りるか/作るか」を公開価格で測り直すことに、今日では実利が出てきた、というのが僕の一点だ。


出典

  • Salesforce 公式「Sales Pricing」(製品公式の価格ページ): Sales Cloud の各エディション(Enterprise/Unlimited)の1ユーザー月額リスト価格・年契約条件。 https://www.salesforce.com/sales/pricing/
  • Salesforce 公式ニュース「New List Pricing for Salesforce Products」: Enterprise/Unlimited を含むリスト価格の改定(値上げ)を会社自身が告知。2025年8月の改定後、Sales Cloud Enterprise は月175ドル/Unlimited は月350ドル(年契約のリスト価格)。 https://www.salesforce.com/news/stories/pricing-update/
  • 試算: 175ドル × 100ユーザー × 12か月 = 年約21万ドル。1ドル150円換算で年約3,150万円(本記事の単純計算)。なおこれはリスト価格=交渉前の額面であり、実効価格は規模や交渉で下がりうる。
  • 「作るコストが下がった」「作る/借りるを測り直す余地が生まれた」は筆者の観察・私見であり、外部検証を要する事実主張としては提示していない(本記事の検証可能な土台はSalesforce公開価格の試算に置いた)。
泉水亮介

この記事を書いた人

泉水亮介 / Ryosuke Sensui

TEKION Group CEO / 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員研究員

非エンジニアとして2022年からAI駆動開発を実践し、100を超えるアプリ・AIエージェントを開発。国内唯一の大学単位認定Vibe Coding講義(武蔵野大学)を担当し、TEKION Groupでは自作のAIエージェント基盤で自社業務の9割以上を回している。

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出典/元原稿: ~/auto-agent/drafts/2026-06-21-build-your-own-core-saas.md

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