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「Claude Codeでできる?」が噛み合わない理由──同じ名前で入口が4つある

泉水亮介

「Claude Codeってチェックポイントで巻き戻せる?」「! でそのままbash叩ける?」──こういう質問への答えが、人によって正反対になることがある。バグでも勘違いでもない。「Claude Code」という同じ名前が、実は複数の入口を指しているからだ。ターミナルの話をしている人と、エディタの拡張の話をしている人と、デスクトップアプリの話をしている人が、同じ単語で別物を語ると会話が崩れる。今日はこの混乱を1枚に整理する(本記事の機能仕様は2026年7月時点の公式情報に基づく。仕様は今後変わりうる)。

大前提:Claude Code は「1つのエンジン」を複数の入口から使う

まず公式が明記している事実から押さえる。公式ドキュメントには、VS Code拡張が内部に「CLIのコピー」を同梱していること、設定ファイル ~/.claude/settings.json会話履歴を拡張とCLIで共有すること(拡張で始めた会話をターミナルで claude --resume と打てば続きから再開できる)、そして Pro / Max / Team / Enterprise のいずれかに入っていればターミナルでもVS CodeでもJetBrainsでも同じプランでカバーされAPIキーが要らないこと、が書かれている。

ここから整理できるのは、Claude Code はバラバラの別製品ではなく、共通の核(CLI)を複数の「入口(サーフェス)」から使う構造だ、ということ(これは上記の公式記述からの整理)。公式ドキュメントやリリース情報をたどると、入口は大きく分けて次の4つになる。

  1. ターミナル版(CLI)── コマンドラインで claude を動かす
  2. IDE拡張── VS Code / JetBrains などのエディタの中で動かす
  3. デスクトップアプリ── Mac / Windows の専用アプリ
  4. ウェブ版── ブラウザ(claude.ai/code)で動かす

だから「Claude Code が使えるか」ではなく「どの入口で何ができるか」で考える必要がある。

①ターミナル版(CLI)── 機能が広い、自動化向き

公式の比較表では、**VS Code拡張の機能はCLIの「部分集合(Subset)」**と位置づけられている。CLIにあって拡張に無い機能の例として、公式は次を挙げている。

  • ! のbashショートカット── CLIはあり、VS Code拡張は無し
  • タブ補完── CLIはあり、VS Code拡張は無し
  • コマンド・スキル── CLIは全部使える、VS Code拡張は一部(/ を打つと使えるものだけ出る)

つまり「拡張で !ls が効かない」のはバグではなく、そもそもCLI専用機能だからだ。ファイルを直接編集してgitにコミットさせたり、夜通し自律ループを回したりといった重い開発・自動化を考えるなら、拡張で足りない機能が要るときはCLIに降りる、と整理しておくといい。

②IDE拡張(VS Code / JetBrains)── エディタの中で書きながら使う

エディタで実際にコードを書きながら使いたいなら、IDE拡張が向いている。公式は「VS Code で Claude Code を使う推奨の方法」と明記している。拡張ならではの機能はこのあたりだ。

  • インライン差分レビュー── Claudeが変更を提案すると、その場で元コードと並べて見て、承認/却下できる
  • @メンション── @app.ts#5-10 のように、ファイルの特定行を選択してそのまま文脈に渡せる
  • プラン承認モード── 実行前に「何をするか」の計画をマークダウンで開き、コメントを書いて承認できる
  • チェックポイント(巻き戻し)── 各メッセージから、コードの変更だけを過去の状態に戻せる

ただし前提がある。VS Code は 1.98.0以上が必要で、機能はあくまでCLIの部分集合だ。JetBrains側はやや作りが違い、独立した拡張というより「統合ターミナルで claude を起動し、それをプラグインが検知してIDE機能(差分表示など)を足す」ラッパー型になっている。エディタ統合の快適さを取る代わり、CLI専用機能の一部は諦める、というトレードオフだと理解すればいい。

③デスクトップアプリ(Mac / Windows)── 2026年4月に強化、自動実行・並列作業の俯瞰向き

デスクトップアプリは「定着前の人向けで非推奨」と語られていた時期があるが、これは補正が要る。Anthropic公式ブログは 2026年4月14日に「Routines(ルーティン)」を発表した。これはプロンプト+リポジトリ+接続を一度設定すると、スケジュール(毎時/毎晩/毎週)・API呼び出し・GitHubイベントの3通りで、ノートPCを開いていなくても(Claude Codeのウェブ基盤上で)自動実行される仕組みだ。たとえば「毎晩2時にLinearの最上位バグを取り、修正を試みてドラフトPRを開く」といった自動化が組める。利用枠は公式記載で Pro:1日5件、Max:1日15件、Team / Enterprise:1日25件(Claude Code on the web 有効が前提)。

これと同時期に、複数のテックメディア(MacRumors / VentureBeat)が、デスクトップアプリのUI刷新も報じている(複数セッションのサイドバー、ドラッグ&ドロップ配置、統合ターミナル・差分ビューア・プレビュー、サイドチャット Command+; など。※このUI刷新の細部は報道ベースで、公式の一次記述はRoutines発表に集約されている)。いずれにせよ、公式が自動実行(Routines)を載せてきた以上、「デスクトップ=おまけ」という古い理解のままだと、自動化や複数タスクの俯瞰という強力な使い方を見落とすので、ここは認識を更新しておきたい。

④ウェブ版(claude.ai/code)── 手元に環境がなくても使える

4つ目はブラウザだけで動くウェブ版だ。GitHubのリポジトリと紐づけてクラウド上でセッションを回せる。公式ドキュメントには、ウェブで始めたクラウドセッションを後からVS Codeの拡張で「Remote」タブから引き継いで続ける導線まで用意されている(ただしGitHubリポジトリ付きで始めたセッションのみ対象)。手元のPCに環境を作れない/外出先のブラウザから触りたい、という時の入口だと考えればいい。

紛らわしいもう一つの罠:「Cursor」も「Claudeアプリ」も別物

ここで初学者が一番混乱する点を1つ潰しておく。Cursor は Claude Code ではない。 Cursor は VS Code を派生させた別のエディタ製品で、独自のAI機能を内蔵している。確かにそのCursorに「Claude Code拡張」を入れることはできる(公式の拡張は Cursor を含むVS Codeフォークにもインストールできる)が、それは「CursorでClaude Codeを使っている」状態であって、Cursorが標準で持っているAI=Claude Codeではない。同様に、チャット用の「Claude(claude.ai)」アプリと、コーディング用の「Claude Code」も別物だ。「ClaudeでできたのにCursorでできない」と感じたら、まず自分が今どの製品のどのAIを触っているかを確認するのが第一歩になる。

使い分けの早見(1枚で)

質問の前に「どの入口の話か」を揃える。目的別の置き場所はこうなる。

  • がっつり開発・自動化・自律ループ → ターミナル版(CLI)。機能が最大、! bashやタブ補完もここだけ
  • エディタでコードを書きながら、差分を見て承認 → IDE拡張(VS Code / JetBrains)。ただし機能はCLIの一部
  • 複数タスクを並べて俯瞰・配置を自分好みに → デスクトップアプリ(2026年4月刷新版)
  • 手元に環境がない・外出先のブラウザから → ウェブ版(claude.ai/code)

そして覚えておくべき逆向きの注意は、Cursorや「Claude」チャットアプリはClaude Codeとは別製品だということ。「できる/できない」が噛み合わなくなったときは、多くがこの入口・製品の取り違えが原因なので、まずそこを疑うと早い。

結論

「Claude Code」は単一の製品ではなく同じエンジンを4つの入口(ターミナルCLI/IDE拡張/デスクトップ/ウェブ)から使うもので、機能の最大集合はCLI・エディタ統合はIDE拡張・並列俯瞰は刷新されたデスクトップ・外出先はウェブと入口ごとに出来ることが変わるから、質問や指示の前に「いまどの入口(さらにCursor等の別製品ではないか)の話か」を先に揃えるのが、混乱を防ぐ一番速い手だ。機能・提供形態はアップデートが速い領域なので、正確な最新仕様は都度公式ドキュメントで確認してほしい。


出典

  • Anthropic 公式「Use Claude Code in VS Code」(一次情報)── VS Code拡張は内部にCLIを同梱、設定 ~/.claude/settings.json と会話履歴を拡張とCLIで共有、Pro/Max/Team/Enterpriseで利用可・APIキー不要、VS Code 1.98.0以上が必要、CLI専用機能(! bash・タブ補完・全コマンド)に対し拡張は「部分集合(Subset)」、ウェブのクラウドセッションをRemoteタブで引き継げること、Cursor含むVS Codeフォークへの拡張インストール。https://code.claude.com/docs/en/vs-code
  • Anthropic 公式ブログ「Introducing routines in Claude Code」(一次情報・2026年4月14日)── Routines はプロンプト+リポジトリ+接続を設定し、スケジュール(毎時/毎晩/毎週)・API・GitHubイベントの3通りで、Claude Codeのウェブ基盤上でセッション無しに自動実行する仕組み。利用枠は Pro:1日5件 / Max:1日15件 / Team・Enterprise:1日25件(Claude Code on the web 有効が前提)。https://claude.com/blog/introducing-routines-in-claude-code
  • MacRumors / VentureBeat(2026年4月・報道)── 上記と同時期に、デスクトップアプリのUI刷新(複数セッションのサイドバー、ドラッグ&ドロップ配置、統合ターミナル・差分ビューア・プレビュー、サイドチャット Command+;)を報道。※UI刷新の細部はこれら報道ベースで、本文でもその旨を明示。https://www.macrumors.com/2026/04/15/anthropic-rebuilds-claude-code-desktop-app/https://venturebeat.com/orchestration/we-tested-anthropics-redesigned-claude-code-desktop-app-and-routines-heres-what-enterprises-should-know
  • ※「共通の核を複数の入口から使う」という構造把握、および各入口の「使い分け(どの目的にどれ)」は、上記の公式記述(CLI同梱・設定/履歴共有・機能差)という事実をもとにした筆者の実務上の整理。
泉水亮介

この記事を書いた人

泉水亮介 / Ryosuke Sensui

TEKION Group CEO / 武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 客員研究員

非エンジニアとして2022年からAI駆動開発を実践し、100を超えるアプリ・AIエージェントを開発。国内唯一の大学単位認定Vibe Coding講義(武蔵野大学)を担当し、TEKION Groupでは自作のAIエージェント基盤で自社業務の9割以上を回している。

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出典/元原稿: ~/auto-agent/drafts/2026-06-24-claude-code-which-surface.md